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2018.12.05

『忘年会シーズンは尿酸に注目』

2018年も残すところあと1か月、忘年会シーズンに突入し、年末に向けて何かと慌ただしくなる頃ではないでしょうか。そしてこの時期は、いつもより飲み会や外食が増えていき、食生活が乱れがち…そんな時に気を付けたいのが尿酸です。

尿酸とは
尿酸は、体内の新陳代謝の過程で生まれる老廃物で、水に溶けにくく、結晶化しやすい性質を持っています。通常は体内で尿酸が一定に保たれるように調整されていますが、このバランスが崩れると、体内の尿酸が増加して高尿酸血症になります。比較的若い方にも多く、30?40代男性の3割、約3人に1人が高尿酸血症というデータもあります。

高尿酸血症の原因
高尿酸血症になる主な原因は、食べすぎやアルコールの飲みすぎです。過度の飲食によってプリン体が多量に摂取されることで、尿酸値が上がります。食物由来のプリン体から生成される尿酸は全体の1/3程度と言われるほどです。特に、アルコールに合う美味しいおつまみ、魚卵や内臓、干物などの食べ物はプリン体を多く含みます。体内に増えてしまった尿酸にさらなる追い打ちをかけるのが、体外へスムーズに排泄されないという問題です。尿酸の約8割は尿中に排泄されるのですが、アルコールは尿酸の排泄を邪魔するだけでなく、その利尿作用によって尿酸が体内で濃縮されていくのです。

そのまま放っておくと・・・
高尿酸血症の状態が続くと、関節に溜まった尿酸の結晶が痛風を引き起こします。痛風は「風が当たっただけで痛い」と表現されるほどの激痛で、尿酸値が高い状態が続くことで生じる関節炎です。高尿酸血症を長期間治療しないでいると、増えすぎた尿酸が、血液中に溶けきれなくなり、からだのいろいろな部位に結晶化して沈着します。尿酸の結晶が関節に沈着したものは痛風、腎臓に沈着すれば腎障害、尿路では尿路結石を引き起こします。痛みのあまり救急車を呼んでしまう…ことは避けたいものですね。

予防と対策
尿酸値を下げるために大切なのは、尿酸値を上げやすい生活習慣全体を見直すことです。主なポイントは下記の表をご参照ください。ただし、痛風になるのは遺伝的な要因も少なくないという調査もありますので、日頃から生活習慣に気を配り、リスクを下げておくことが大切ですね。

表:尿酸値を上げないための生活習慣のポイント ()内は補足説明

食事
  • 就寝直前の食事は避ける(食後すぐに就寝すると尿酸結石ができやすい)
  • 野菜、海藻などのアルカリ性食品を積極的にとる
  • プリン体の多い食品は「たまに」「少し」楽しむ
アルコール
  • すべての種類のアルコール量を減らす(ビールに限らずアルコールそのものが尿酸値を上げる原因になる)
水分
  • 2L/日を目安に積極的に水やお茶などの水分をとる(心不全や腎不全で水分制限の指示を受けているような場合を除く)
運動
  • ウォーキングなど軽い有酸素運動をする(短距離走などの激しい無酸素運動を行うと、逆に尿酸が産生されて逆効果)
減量
  • (最近ではメタボリックシンドロームとの関係も深いと言われており、減量することで尿酸値を下げる効果が期待できる)

 

参考文献:

  • 高尿酸血症/痛風.一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
    • http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/hyperuricemia.php
  • 高尿酸血症.e-ヘルスネット 厚生労働省
    • https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-007.html
  • アルコールと痛風.e-ヘルスネット 厚生労働省
    • https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html
  • 痛風は若い世代でも増えている 遺伝との関係を解明.保健指導リソースガイ
    • http://mhlab.jp/calendar/2013/011259.php