コロナ禍において必須となったマスク着用により、肌トラブルを経験される方も多いのではないでしょうか。
季節が春から夏に向かうこの時期、より症状を感じやすくなるかもしれません。
見た目が気になったり、シェービングをする際に皮膚を傷つけてしまい、さらなるトラブルにつながったりなど困りますよね。
今月は、マスクによる肌トラブルについてご紹介します。
1.半数以上で肌の変化を意識
花王が、女性990名を対象に2020年8月と2021年2月に行ったインターネット調査1)によると、半数以上の方がマスク着用時の肌状態の変化を感じていました。
その内訳をみてみると、「吹き出物」が夏・冬とも最も多く、次いで、夏は「ニキビ」「肌荒れ」「べたつき・あぶらっぽさ」「かゆみ」「乾燥」、冬は「乾燥」「ニキビ」「肌荒れ」「がさつき」「肌が敏感になった」の順に多い結果でした。
2.原因
マスクでは、蒸れ・摩擦・素材による刺激やアレルギー反応で、湿疹やニキビが生じる2)と言われています。
蒸れにより皮膚の角質が必要以上にふやけてはがれやすくなり、さらにマスクなどの摩擦力が加わります。摩擦により、細胞の縮みや変形が生じ、細胞のひずみが蓄積され、角質層内に微小な間隙が形成され、皮膚バリア機能が低下します3)。
マスクの素材や縫い代による物理的刺激や、染料や接着剤などの科学的刺激などの素材による影響を受ける場合もあります。
3.対策
● 保湿をする
マスクによる肌トラブルの対策としては保湿が重要です。蒸れと保湿は異なるので、保湿を十分にし、皮膚のバリア機能を整えましょう。帰宅後にマスクを外した後は、すぐにクレンジング・洗顔を行い、汚れを落としたのち、保湿をしましょう。肌トラブルの症状がある間は、その部位のマッサージや刺激の強い化粧品は避けるのがおすすめです。
● 髭の手入れをする
顎髭が伸びてくると、会話のたびにマスクがずれやすくなるので摩擦につながります。ずれにくいよう、手入れがおすすめです。
● 自分に合ったマスクを選ぶ
ずれにくく、顔にフィットするマスクを選びましょう。不織布マスクは、気密性が高く蒸れやすいので、ガーゼや布・綿・絹素材などのマスクを挟むのもおすすめです。
● 必要時受診をする
症状が改善しない場合や、悪化する場合は皮膚科へ受診しましょう。
【引用文献】
1)花王(2021)「マスクを着けていることで生じる肌状態の変化」
https://www.kao.com/jp/corporate/news/products/2021/20210617-001/(2021年4月18日)
2)野村有子.コロナ対策(マスクおよびアルコール消毒液,防護服など)による皮膚障害.
臨床皮膚科, 2021増刊号, 75(5),p.10
3)Kikuchi K, et al . Int J Pharm 587 : 119708, 2020
【参考文献】
・野村有子.コロナ対策(マスクおよびアルコール消毒液,防護服など)による皮膚障害.
臨床皮膚科, 2021増刊号, 75(5).