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コラム

マイナスとプラスのバランス

こんな場面を想像してみてください。あなたはA社の株を購入しました。ある日、株価が上がったためA社の株を売却し1万円の利益を得ました。ところが翌日も株価が上がり、もう1日待てばさらに1万円の利益が得られるところでした。得た1万円と、売り急いで逃した1万円では、どちらが印象に残るでしょうか。同じ1万円でも、後者の「損をした」感覚の方が強く印象に残る人の方が多いのではないでしょうか。

人間はマイナスの要素に敏感になる傾向があります。これは身の危険を回避するために発達した本能的な反応です。危険や損失に敏感になることで、生存の可能性を高めてきました。しかし、この本能が過剰に働くことで生きづらさを感じることもあります。

特に調子が悪い時やストレスが多い時には、ネガティブな出来事に敏感になりがちです。たとえば、仕事や人間関係のトラブルがあると、そのことばかりが頭に残り、他の良い出来事が見えにくくなります。この状態が続くと、自己評価の低下や、さらなるストレスや不安を招く、悪循環に陥りかねません。

そこで、プラスの面にも目を向けて考え方のバランスを取ることが重要です(プラス面だけをみるという事ではありません)。

具体的には、日々の生活で感謝の気持ちやポジティブな出来事に目を向けてみます。毎晩寝る前にその日にあった良い出来事を3つ思い浮かべてください。最初は思い浮かばなくても、それはポジティブな面に目を向ける習慣がまだできていないというだけかもしれません。些細な出来事でも探してみると、次第にポジティブな面にも目が向くようになりますので、諦めずに続けてみましょう。

他にも、マインドフルネスや瞑想を取り入れることも効果的です。これらは「今、この瞬間」に集中し、マイナス思考から距離を置く助けになります。習慣化することで心のバランスを保ちやすくなります。

このように、マイナスの要素に敏感になる人間心理を理解していれば、いざという時も落ち着いて対応できることでしょう。心のはたらきを知ることが、より健康的で充実した生活につながると思いませんか。

(御池メンタルサポートセンター 臨床心理士 岩佐 浩)