News

ニュース

2019.10.29

睡眠と食欲の関係

心地よい風で眠りやすく、食事がおいしい季節ですね。

今回は、そんな睡眠と食事についてのお話です。

<日本人は睡眠不足>

日本人、特に子供たちや就労者の睡眠時間は世界で最も短いと言われています。とりわけ女性は家事や育児の負担が大きいため男性よりもさらに睡眠時間が短く、平日・週末を問わず慢性的な寝不足状態にあると言われています。

 

<睡眠不足の影響>

慢性的な睡眠不足は体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことが知られており、それは生活習慣病へとつながっていきます。

・メタボリックシンドローム

睡眠不足になると食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌は減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)の分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。夜更かしの日が続くと、ついつい無意識に食べてしまうということがあると思います。これは我々がもともともっている食欲を調整する生理的な仕組みが、食欲増加を命令していることになります。

またアンチエイジングにかかわる成長ホルモンの分泌不足が本来の睡眠中の新陳代謝を乱した結果、メタボ体質が進んでしまう可能性があります。

・糖尿病

睡眠不足により糖質コルチコイド(血糖を上昇させる)の過剰分泌がおきます。それが続くことでインスリンの分泌が悪くなり血糖コントロールの不良を招きます。

入眠困難や中途覚醒・早朝覚醒など不眠症状のある人では良眠している人に比較して糖尿病になるリスクが1.52倍になることが知られています。

・高血圧

睡眠不足により交感神経の緊張状態が続き血圧があがります。1回の徹夜で平均約10mmHg高くなり、交感神経の活動と相関していることも報告されています。

 

<快眠のために自身でできること>

①寝る前には、刺激物は避ける

・夕方以降のカフェイン飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)の摂取は控えましょう

・軽い読書、静かな音楽、40℃くらいのぬるめの入浴、アロマテラピー、軽いストレッチなどで心身をリラックスさせましょう

②睡眠薬代わりの寝酒は避けましょう

寝酒は中途覚醒を増やします。一時的に寝つきはよくなっても、夜中に目を覚ましやすくなったり、眠りが浅い状態になったりします。

③毎朝、同じ時刻に起床しましょう

・毎日の決まった時間に起床することで、体に一定の睡眠と覚醒のリズムが身に付き、自然に早寝早起きへの習慣へとつながります。

 

日々の生活の中で睡眠時間はともすれば犠牲になりがちです。今回ご紹介したように長期にわたり睡眠不足を続けたり、睡眠障害を放置したりすると、私たちの健康を大きく害してしまいます。睡眠習慣の問題や睡眠障害を放置せず、ご自分の睡眠状態に疑問を感じたら、かかりつけ医もしくは睡眠専門医に相談をしてみましょう。

 

引用・参考

・千葉 伸太郎,よりよく眠るための睡眠科学,へるすあっぷ21:2018.11,p38-39

・睡眠と生活習慣病との深い関係,eヘルスネット,厚生労働省

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html

・快眠ジャパン

http://www.kaimin-japan.jp/