新型コロナ感染症の影響で、電車の中や会議中など、少し咳払いするだけでも周囲の目が気になる状況ですね。
「喘息」や「花粉症」だということをアピールする缶バッチの販売がニュースでも取り上げられていました。咳の症状は、このような状況下で特に困る問題です。
今回は、長く続く咳の原因の一つとされる「咳喘息」についてご紹介します。
【咳喘息とは】
喘息特有の「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音や呼吸困難を伴わない、長く続く咳が唯一の症状とされていて、喘息の一歩手前の状態とも言われています。
日本では、長く続く咳の原因の約50%を占めており、最も頻度が高いとされています。
咳喘息の患者さんも早期の診断・治療を行わないと約30%が典型的な喘息に移行してしまうと言われています。咳の症状が続く場合は、まずは呼吸器内科への受診をおすすめします。
【受診時のポイント】
自分の症状を正確に医師に伝えることが重要です。
(以下の質問は、受診時に聞かれることが多いです。)
<例>
・症状が出始めた時期(例:風邪をひいた後から治った後も咳だけが続くなど)
・咳以外の症状の有無
・周囲に同様の症状の人の有無
・どれくらいの期間症状が続いているのか
・どんな時に症状がでたり、悪化したりするのか(例:運動時など)
・日内変動はあるか(例:夜に悪化するなど)
・季節性があるのか(例:毎年春に悪化するなど)
【咳喘息と診断されたら】
治療を継続することが重要です。
吸入ステロイド薬を処方された場合は、特に自己中断をしないことが重要です。
継続にあたって何か気になることがあれば主治医に相談しましょう。
吸入ステロイド薬は以下の特徴があります。
◆ごく少量:吸入ステロイド薬は、口から薬を吸いこみ直接気管支に届き効果を発揮するため、内服薬のステロイドと比較して、100分の1の量というごくわずかな量を使用します。
一部の副作用はありますが、吸入後にうがいをするなど使用方法を守れば、安全性の高い薬といわれています。
◆使用方法を守る:使い方によって、十分な量を吸入できないことがあります。
◆期間を守る:吸入ステロイド薬が処方された場合は、期間を守ることが重要です。
咳の症状がなくなっても、気管支では炎症が続いていることがあります。ぼやと同じで、しっかり火消しをしないと再度咳の症状が起こります。
また、炎症が続いたまま放置してしまうと、気管支自体が硬くなって少しの刺激で症状が出やすくなったり治療が難しくなったり等の状態に変化してしまうことがあります。
咳の症状に悩まされない生活を送れるといいですね。
<参考文献>
・咳嗽に関するガイドライン第 2 版:https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0148/G0000523/0001
・咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019