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第27回日本産業精神保健学会 ご報告


2021年2月12日(金)から14日(日)にかけWEBにて第27回日本産業精神保健学会が開催されました。当会御池メンタルサポートセンターからは臨床心理士の水本正志が心理職部会シンポジウムに登壇しました。

シンポジウム4(心理職部会シンポジウム)
これからのパワハラ対策 -パワハラの一次予防、二次予防、三次予防-
座長 長見まき子(関西福祉科学大学 健康福祉学部)松浦 真澄(東京理科大学)

シンポジスト 水本 正志
「産業心理職によるパワハラ三次予防 その一例―産業保健流パワハラ加害者面談 実践上の工夫―」

発表概要:産業心理職として数は少ないながら数年前より対応しているパワハラ加害者への面談の実践について模擬事例を示しつつ紹介した。
構造上の具体的な工夫としては、①会社として当該事象をパワハラ事象と明確に認定すること、②そしてパワハラ認定された事実を明確に加害者本人に伝えること、③先述②の過程で加害者本人に「あなたも何か困っているのではないか?」と確認すること、④先述③に対して本人が「困っている」と反応すること、以上4点を提示し、全て満たした対象者のみ面談を引き受けていることを紹介した。また、面談は月1回1時間×6か月の継続、面談開始3か月目と6か月目には面談対象者の変容を評価するため人事担当者が関係者にヒアリングを実施して発表者に報告することを提案・依頼しているが、面談対象者は皆多忙のため、6か月で6回の面談を実施した事例はまだないこと、質問紙等の定量評価は実施していないが、6か月経過時点での本人評価、関係者評価から全事例でパワハラ的言動の減少が報告されていることも併せて紹介した。

この度は日本産業精神保健学会の心理職部会シンポジウムにて発表させていただきました。コロナ禍の影響で大会が延期となり、慣れないWEB開催となりましたが、無事に役目を果たすことができ、一安心しております。
2020年6月から事業主に対してパワハラ防止措置義務が課せられました。パワハラは職場環境を害する行為であり、従業員の健康問題の発生や労働生産性の低下にもつながります。私が紹介した産業心理職としての実践上の工夫が、他の産業心理職の方々の参考になったのであれば嬉しい限りです。
(京都工場保健会 御池メンタルサポートセンター 臨床心理士 水本 正志)