メンタルヘルス研修やカウンセリングの際に、コミュニケーション・スキルについて教えてほしいというご要望をよく頂きます。そこで今回は、簡単にできるコミュニケーションの一工夫をお伝えします。
コミュニケーションの有名な研究で、「アルバート・メラビアンの法則」があります。コミュニケーションを行う際、言葉の内容(話す内容)、声の調子(話すスピードや声の調子など)、身体言語(表情やジェスチャー)の3要素が同時に発信されていますが、3要素のメッセージが一貫してない場合、受け取り手は言葉の内容を7%、声の調子を38%、身体言語を55%、重視するという法則です。例えば、眉間にしわを寄せ威圧的な声で「大丈夫だよ」、と言われても大丈夫な気はしませんよね。むしろ、怖いんじゃないでしょうか。これは、言葉の内容7%より、声の調子と身体言語を合わせた93%を受け取り手は重視した、といえます。つまり、言葉の内容だけでなく、声の調子や身体言語など非言語もきちんと意識してコミュニケーションをとることが重要です。
声の調子では、話すスピードを工夫するのも1つです。人は自分と同じぐらいのスピードで話してもらえると理解しやすい、という特徴があります。話すスピードがゆっくりな方にはゆっくり話すと伝わりやすく、これを実際に意識して話しているのが、”ヤホー”でお馴染みの人気漫才師ナイツさんです。ナイツさんは、ご年配の方が多い浅草で漫才をする際、ネタをゆっくり話すことで、お客さんに伝わるよう工夫されています。
身体言語では、スマホの使い方を工夫するのも1つです。日本の子どもを対象としたアンケート結果で、『「親は自分よりスマホを大切にしていると感じたことがある」と答えた子が20%に及ぶ』というデータがあります。スマホをいじりながら話をしていると、身体や顔が子どもの方を向いていないので、大切に思っていても伝わらないんですね。ついつい触ってしまうスマホですが、手を少し止めて身体や顔を相手に向けて話してみましょう。
いかがでしたか。簡単にできる一工夫ですので、よろしければお試しください。
(御池メンタルサポートセンター 臨床心理士 倉谷昂志)