column

コラム

梅は咲いたか…

2月は逃げる月とか。すぐ節分、翌日は立春。春へとはやる気持ちを笑うように着実に、寒さにひるまず花開く、梅に力をもらう2月でもあります。梅はよく桜と並べて語られ、開花までの仕組みも似ています。花芽は夏につぼみを作るも秋冬は休眠。梅は桜より低温で目覚め開花期間が長く、桜に比べて、花芽の膨らんでいく様子や花びらが開いていく過程の小さな変化が見えやすく、プロセスを味わえる花のように思います。

プロセスを知ることは仕事においても大切。特に新しい業務や役割の習得にあたっては重要な作業です。「こうありたい」結果やゴールは見えてもたどり着くのは難しく、焦りや不安、ストレスを経験される方も多いはず。わずかでも前に進む変化を実感できれば、はやる気持ちが緩和され、落ち着いて仕事に臨めるように思います。その際、案外忘れがちなのは、現時点をよく見る・よく知ることではないでしょうか。

例えば「電話に出られない新入社員」。「理由」を問うと「固定電話に慣れていない」「誰からかわからない」「ミスをしたくない」→「じゃあ、とにかく取って慣れよう」と言われても…。取れずに困っているその人の、現時点をよく知る事で、小さな変化に気づき、経験を積み上げていく、その人にとっての具体的な対策が立てられると思います。

現時点を知るには、先ず今のその人をよく見る。電話が鳴ると表情がこわばる、よく聞き返す、メモを取れてない…等、見て感じる事は手掛かりです。次に周囲の話をよく聞く。周囲の知るその人のエピソードを具体的に聞く事で、自分の知らない現時点が広がります。勿論その人の話をよく聞く。現時点がその人の視点で見えます。ポイントはWhyよりWhatで。「何に困ってる?」「どんな事がやりにくい?」の様に。

大切な事は、できていることや頑張っている現時点も把握する。「3コール目で周囲の目線に緊張」でも“深呼吸している”なら落ち着こうとする行動が見え、“手に迷いの動きがある”なら不安でも出たい気持ちが見えます。「なんで?」と結果を責めず、現時点のその先を、一緒に考えるコミュニケーションに繋がるのではないでしょうか。

 

(御池メンタルサポートセンター 臨床心理士 岸田 敬子)